第74回日本体力医学会大会 会期 2019年9月19日木〜21日土 会場 つくば国際会議場

生き生き茨城夢国体・大会マスコットキャラクター いばラッキー

名誉大会長挨拶

第74回日本体力医学会大会 名誉大会長 永田 恭介

永田 恭介

第74回日本体力医学会大会 名誉大会長
筑波大学長

このたび、第74回日本体力医学会大会が、筑波大学名誉教授田中喜代次大会長のもと、つくばで開催されますこと心よりお祝い申し上げます。また、今大会の準備・運営にご尽力いただいた多くの組織委員ならびに関係者の皆様には厚くお礼を申し上げます。

つくばは、科学技術研究機関が集積する我が国有数の研究学園都市であり、フランス・グルノーブル市にある研究開発拠点 「GIANT(Grenoble Innovation for Advanced New Technologies)」が提唱して始まった国際的な科学技術都市フォーラムである”High Level Forum”に参画する我が国唯一の街でもあります。「体力ならびにスポーツ医科学に関する研究の進歩、発展の促進」という先駆的な目的を掲げて戦後間もなく創設された本学会の大会がつくばという街で開催され、そのお世話に我々筑波大学が関われることを大変誇りに感じるところです。

筑波大学は研究学園都市つくばの中核組織として、「開かれた大学」を建学の理念とし、筑波研究学園都市の中核として、先進的な研究教育を進めています。国が創設した最も古い(明治5年)高等教育機関を創基とし、45年前に最も新しい研究型総合大学として生まれ変わった本学は、他に類を見ない幅広い学問分野を有し、体育専門学群(体育学部)と医学群(医学部)を有する唯一の国立大学です。また、ノーベル賞受賞者とオリンピック金メダリストの両者を輩出している数少ない大学の1つでもあります。田中喜代次大会長や宮川俊平副大会長、前田清司事務局長らが教鞭をとり研究を進めている大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻および征矢英昭副大会長らの大学院人間総合科学研究科体育科学専攻は、体育学、保健学の分野はもとより健康・スポーツ科学、スポーツ医学などの分野において、最先端の基礎的および実践的研究を推進し、国内外で先導的な役割を果たしています。超高齢化社会を迎えるわが国において、これらの分野の重要性は益々高まっており、貴重な研究成果が期待されています。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、スポーツの持つ可能性が大きく広がろうとしている今日、アスリートの競技力向上、健康管理、傷害防止などに関する研究成果もなお一層期待されるところです。

本大会では全国各地より第一線で活躍する研究者、また今後の発展が期待される学生らが多数参加し、幅広い分野における最新の研究成果が発表されるものと確信しています。終わりに、今大会を開催するにあたりご支援、ご協力を賜りました関係者の皆様に重ねて深く感謝を申し上げるとともに、本大会の成功を祈念申し上げます。

人類の元気長寿実現に向けた体力医学的研究への期待

第74回日本体力医学会大会 大会長 田中 喜代次

田中 喜代次

第74回日本体力医学会大会 大会長
筑波大学 名誉教授、教育学博士

運動・スポーツといった身体活動の習慣化は、従前から心肺機能や筋機能といった体力の向上、糖代謝や脂質代謝の改善に対して有効であろうとのevidenceが豊富に得られており、近年に至っては脳機能(認知機能)の向上やメンタルタフネスの増強などに対する有効性も示唆されています。また、結腸がん、大腸がん、肺がん、乳がんなどの発症に対して、運動は抑制的作用をもたらすという疫学論文が多数発表されています。

そういった背景を受けてか、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)はEIM(exercise is medicine:運動は医療である)とまで形容するほどです。EIMに関しては賛否両論があり、運動の習慣化が慢性疾患の予防・改善につながるという肯定的見解とともに、健康状態は運動以外の生活習慣(タバコ、アルコール、食事、睡眠、休養など)、ストレス、さらには体質の影響を強く受けることから、運動の有益性の誇張は不適切という否定的見解もあります。運動の疾病予防(0次・1次・2次・3次予防)効果は、疾病の種類、年齢、体質、ライフスタイルなどの影響を受けて強弱さまざまと考えるのが賢明でしょう。

認知症の予防に運動が有効という見解についても、肯定的見解と否定的見解があります。前者を唱える研究者によると、自主的かつ系統的な運動の習慣化(enjoy exercise)は海馬の体積増、歯状回の顆粒細胞やグリア細胞の新生、アミロイドβ蓄積の抑制をもたらしうるといった仮説が立てられています。その一方で、海馬の体積をMRIで観るには限界が大きく、軽微な変化を定量することは困難という指摘もあります。アミロイドβは50歳台あたりから蓄積し始めるものの、蓄積が顕著に進んでいた80歳台でも認知機能は正常であったという研究発表もあります。最近、英国の研究雑誌には、運動の有効性を疑問視するevidenceが掲載されました。認知症の予防について多因子で説明することが賢明なため、介入も多因子であるべきという見解が一般的で、がんや認知症の発症を抑制する運動方法が見つかれば、人類にとってこれほど喜ばしいことはありません。EIMなのか、medical fitnessなのか、キャッチコピー(キャッチフレーズ)の表現はともかく、フィットネス、運動、スポーツと疾病の予防・治癒・再発防止との関係を従来から探究しているのが、日本体力医学会です。筑波大学の体育系や医学医療系も、同様の探究に向けて日々研鑽を積んでいる研究組織の一つです。2020年の東京オリンピックを間近に控え、スポーツ競技力の向上、けがの防止、栄養の重要性などとともに、日本国民の元気長寿に向けて鋭意研究を積み重ねている専門家たちによる良質の研究発表と活発な意見交換が展開されることを切に願っております。

日本体力医学会

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